対症療法について考えてみましょう

以下は、PNHの症状を和らげるために現在使用されている対症療法です。どの治療が最善であるか、それぞれの利点と欠点もあわせて紹介します。

輸血

  • 溶血で失われた赤血球を十分に補充することができず、ヘモグロビン低下が高度となったときに勧められます。ヘモグロビンは赤血球中の赤い色素蛋白で酸素を運搬する役目を果します1
  • ヘモグロビン濃度が低下し続けている場合は、定期的に行います1

利点:輸血は日常的に行われています。また、輸血に関連した副作用は、長期ステロイド投与より少ないと考えられます1

欠点:度重なる輸血によって、輸血に関連した健康障害などの問題があります1

副腎皮質ステロイドホルモン剤

  • 溶血(赤血球の破壊)の治療の目的で使われます

利点:赤血球が破壊される速度を遅くすると考えられています1

欠点:効果を得るには高用量が必要です。ステロイドの継続使用で、白内障、骨粗鬆症や糖尿病など多くの副作用が起こる可能性があります2,3

アンドロゲンホルモン剤

  • ステロイド剤の一種であり、単独使用または他のステロイド剤と併用して用いられます
  • PNHに関連する貧血の治療に使用されてきましたが、アンドロゲンホルモン剤の投与はあまり意義がないとする意見もあります1,2,4

利点:比較的速やかに効果を発揮し、溶血(赤血球の破壊)に伴う悪影響を相殺します1,2

欠点:肝臓に影響を及ぼす可能性があります。また、男性では前立腺肥大、女性では体毛や顔毛の増加など、男性化作用が現れる恐れがあります2

抗凝固薬

  • 血栓形成のリスクを軽減する、もしくは発生した血栓を溶解するために、抗凝固薬が処方されます
  • ヘパリンなどは、血栓の予防の目的あるいはその発生時に使用される抗凝固薬です2,5
  • ワルファリンは、抗凝固薬の一種であり、定期的に服用することによって、血栓症を予防します2,5

利点:PNHの患者さんの生命にかかわる合併症の主な原因となる血栓を予防するのに効果的です1,2

欠点:ワルファリンは、納豆など一部の食物、アルコール、ビタミン剤、ハーブ系サプリメントのほか、PNHの症状を和らげるために処方される副腎皮質ステロイドやアンドロゲンホルモン剤など特定の薬と相互作用を起こす恐れあります5。また、重い出血や皮膚の壊死が起こる恐れがあります。血中濃度が常に治療範囲内にあるようにするため、定期的に血液検査を行う必要があります6

サプリメント

  • 葉酸や鉄のサプリメントは、溶血によって破壊された赤血球を新しい赤血球の産生で補うのに役立ちます1,5

利点:これらのサプリメントは、尿中に鉄分を失い、鉄欠乏を起こしているPNH患者さんに効果的です1

欠点:鉄のサプリメントを服用すると、鉄過剰という危険な状態になる恐れがありますので、鉄濃度を定期的に調べる必要があります。

次は根治療法


References: 1. Parker C, Omine M, Richards S, et al, for the International PNH Interest Group. Diagnosis and management of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. Blood. 2005;106:3699-3709. 2. Rosse WF. Treatment of paroxysmal nocturnal hemoglobinuria. Blood. 1982;60:20-23. 3. MayoClinic.com. Prednisone and other corticosteroids: balance the risks and benefits. Available at: www.mayoclinic.com/health/steroids/HQ01431. Accessed May 22, 2008. 4. Rosse WF, Hillmen P, Schreiber AD. Immune-mediated hemolytic anemia. Hematology (Am Soc Hematol Educ Program). 2004:48-62. 5. de Castro CM. Paroxysmal Nocturnal Hemoglobinuria (PNH) Basic Explanations. Annapolis, MD: Aplastic Anemia & MDS International Foundation; 2006. 6. Coumadin [package insert]. Princeton, NJ: Bristol-Myers Squibb Pharma Co; 2007.