PNH関連用語集

PNH関連用語集


- ア行 -

アスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)(Aspartate transaminase)
特定の組織または器官が傷害されると、細胞によって血中に放出される酵素。ASTは赤血球、肝臓および心臓の細胞のほか、筋組織に存在します。ASTの高い血中濃度は、特定の細胞の損傷の程度と直接関連していると思われます。

網状赤血球(Reticulocyte)
ほとんどが骨髄に存在する幼若赤血球。PNHの患者さんの網状赤血球は、多くの場合、CD59などの防御蛋白を欠いています。

一酸化窒素(Nitric oxide)
平滑筋の緊張などの機能を調節する重要な分子。血流中の一酸化窒素が枯渇すると、危険な血栓が形成され、腹痛、腰痛、嚥下困難(嚥下障害)、勃起不全および肺高血圧症などのPNHでよくみられる症状を伴うことがあります。

遺伝子(Gene)
コーディング配列および非コーディング配列を含め、合成に必要なすべての情報を含有するDNA分子のセグメント。それぞれの遺伝子は染色体地図上の特定の位置を占めています。どのようにして必須蛋白を作るべきかを指示するのが遺伝情報です。この情報は、親細胞から受け継がれ、細胞の特性を決定します。

嚥下障害(Dysphagia)
飲み込むのが困難なこと。PNHの患者さんが経験する可能性がある症状です。

黄疸(Jaundice)
血中のビリルビンが過度に多いため、皮膚および白目が黄色くなること。ビリルビンは溶血があると蓄積するため、PNHの患者さんでは黄疸が発症する可能性があります。



- カ行 -

顆粒球(Granulocyte)
顆粒を含有する細胞の名称。

幹細胞(Stem cell)
骨髄でつくられ、赤血球や白血球、血小板になる細胞。PNHは幹細胞を起源とする疾患です。

凝固(Coagulation)
血栓が形成されるなど、液体が固体になる場合を指します。

グリコシルホスファチジルイノシトール(GPI)(Glycosyl-phosphatidylinositol)
蛋白を細胞表面に接着させる重要なイカリの役割を果たすアンカー型。PNH赤血球はGPIアンカー型蛋白を欠いています。このGPIアンカーがないと、特定の蛋白が細胞表面で欠如し、細胞はからだの中にある補体系によって破壊されやすくなります(補体[Complement]参照)。

クレアチニン(Creatinine)
クレアチニンは、筋肉内のクレアチニンリン酸の分解産物です。クレアチニンは尿中に排泄されるので、クレアチニン検査で腎がどのくらい良好に機能しているか測定します。

血球減少(Cytopenia)
血液中の細胞成分であるいずれかの血球数の欠乏。PNHでよくみられる徴候である貧血は、このカテゴリーに当てはまります。

血小板(Platelet[thrombocyte])
血液中にある細胞で、凝固過程に不可欠な構成要素です。血小板は特定の蛋白と協力し、切り傷を負った時に出血を止めるのを助け、血管内の血流を遮断します。PNHなど特定の疾患では、血小板はくっつき合い、有害な血栓を血管内に形成すると思われます。

血清(Serum)
血液が凝固した後に、血液から分離される透明な黄色の液体のこと。血清を検査すると、患者さんがPNHであるかどうかを含め、多くのことがわかります。

血栓(または血液凝固)(Blood clot)
血小板と、血液内の凝固系の必須成分である蛋白のフィブリノゲンが結合すると、血栓が形成されます。これらの血栓は、その大きさや存在部位によっては静脈や動脈の血流を遮断し(血栓症[Thrombosis]参照)、PNHの患者さんに重大な問題を引き起こす可能性があります。

血栓症(Thrombosis)
血管(静脈や動脈)内を流れる血液を止め、血栓をつくったり血栓を大きくします。血栓は、PNHの患者さんをはじめ、あらゆる人に生命を脅かす合併症を引き起こす可能性があります。溶血はPNHの患者さんの血栓のリスクを有意に増大させます(血栓、血液凝固[Blood clot]参照)。

血栓塞栓症(Thromboembolism)
血栓の形成部位で血栓から剥れた小片による血管の閉塞。

抗凝固薬(Anticoagulant)
血液が凝固するのを阻止する薬剤。血栓はPNHの患者さんにとって実際にリスクとなる可能性があります。

酵素(Enzyme)
からだの機能を助ける蛋白の一種。酵素は細胞のほぼすべての過程に関与し、適度な速さで反応を起こさせます。

抗原(Antigen)
免疫応答を刺激する蛋白。抗原は免疫細胞に結合します。次に、それらの細胞はこれらの抗原を免疫系の他の部分に「提示」し、いくつかの異なるタイプの反応の1つが発現します。抗原は一般にからだによって異物とみなされ、破壊されます。

抗体(Antibody)
細菌などの異物細胞を発見し、攻撃する免疫系によって産生される蛋白。

好中球(Neutrophil)
白血球の中で最も多くを占め、進入してきた細菌などの細胞を攻撃します。好中球はからだ中にあります。

好中球減少症(Neutropenia)
白血球の中の好中球が欠乏した状態。好中球が欠乏すると感染症に対するからだの防御機構が弱まるため危険です。

呼吸困難(Dyspnea)
息切れのこと。PNHの患者さんが経験する可能性がある症状です。

骨髄(Bone marrow)
太い骨の中にある軟組織。骨髄には、造血と呼ばれる過程を通じて赤血球や白血球、血小板を産生する幹細胞が含まれています。

骨髄異形成症候群(MDS)(Myelodysplastic syndrome)
骨髄内の血液細胞の作られ方に問題がある血液障害の大規模かつ多様な一群。MDSは通常、高齢者に多く発症し、いわゆる「急性白血病」に進行するリスクが高いため、ときに「前白血病状態」とも呼ばれます。PNHは、高頻度ではないものの、ときにMDSとともに認められます(PNHの患者さん全体の約2%がMDSにも罹患しています)。

骨髄移植(BMT)(Bone marrow transplantation)
欠損骨髄を自身(自己)または他人(同種)の骨髄と置き換える過程。この過程により、骨髄からすべてのPNH細胞を除去できますが、重大なリスクおよび副作用を伴います。

骨髄生検(Bone marrow biopsy)
通常、腰部から緻密骨の小片を採取する処置。PNHの診断をサポートします。

骨髄穿刺(Bone marrow aspiration)
腰背部に針を挿入し、骨髄から少量の液を採取する検査。この検査は多くの場合、骨髄生検前に行われます。



- サ行 -

再生不良性貧血(Aplastic anemia)
骨髄が、新しい赤血球のほか、他のすべての血液細胞を十分産生しないと考えられる疾患。「再生不良性」(aplastic)という用語は、骨髄が新しい血液細胞を適切に産生できないことを意味しています。再生不良性貧血の患者さんでは、赤血球、白血球および血小板という3つのすべてのタイプの血液細胞数が減少します。PNHは多くの場合、再生不良性貧血とともに認められます。

細胞毒性(Cytotoxic)
細胞を傷害すること。

自己免疫疾患(Autoimmune disease)
免疫系が自身の健康な組織を認識せず、自身の細胞と戦う場合を指します。

CD59
細胞膜の外側にあり、細胞を細胞死(溶解)から防御する蛋白。PNH細胞はアンカー蛋白を欠いているため、この蛋白が存在しません。

GPIアンカー型蛋白(GPI-anchored proteins)
GPIと呼ばれるアンカーによって細胞表面に接着した蛋白。PNHでは、GPIアンカー型蛋白が欠如しているため、赤血球が免疫系によって破壊されます。

小球性貧血(Microcytic anemia)
小球性貧血は、ヘモグロビンが過度に少ない時に発症し、骨髄内の細胞分裂が通常より長時間にわたって行われるため、細胞が小さくなります。

食作用(または貪食)(Phagocytosis)
白血球が体内に侵入した細胞を取りこんで殺菌するプロセスのことです。

ショ糖溶血試験(Sucrose hemolysis test)
赤血球がPNHの影響を受けている場合に、それらの赤血球を切断または溶解(破壊)する溶液に赤血球を注入し、溶血を観察するPNHの検査。現在、フローサイトメトリがPNH診断の標準試験とされています。

赤血球(RBC)(Red blood cell、Erythrocyte)
赤血球は、常に全身を移動して酸素を運搬し、老廃物(二酸化炭素)を除去します。PNH赤血球は重要な防御蛋白を欠いているため、補体として知られるからだの防御系の一部によって絶えず攻撃され、破壊されます。

全血球算定(CBC)(Complete blood count)
少量の血液で行われ、各タイプの血液細胞の量に関する情報が得られる検査。

造血(Hematopoiesis)
骨髄で血液細胞をつくること。PNHでは、赤血球の破壊によって引き起こされた貧血は、造血が不十分であれば悪化する可能性があります。これは、再生不良性貧血(AA)など、骨髄の他の疾患にでも発現すると思われます。

続発症(Sequelae)
PNHのような疾患の後に発症すること。腹痛、嚥下困難、勃起不全はPNHの続発症である可能性があります。



- タ行 -

蛋白(Protein)
すべての生体細胞の重要な構成要素です。酵素や抗体と同様に、蛋白には多くのタイプがあり、正常な機能を営むためにはすべてが必要です。



- ナ行 -

乳酸デヒドロゲナーゼ(LDH)(Lactate dehydrogenase)
体内の多くの器官に存在しますが、特に赤血球で豊富な酵素です。LDHは、PNHと関連した症状の主たる原因である溶血の重要なマーカーです。

尿検査(Urinalysis)
尿を用いる検査。尿検査は、PNHが疑われる患者さんによく行われる検査の一つです。

濃厚赤血球(RBC)(Packed red blood cell)
輸血をより簡単かつ迅速にするために、赤血球から血漿(血液の液体部分)を取り除いた濃縮された血液です。



- ハ行 -

白血球(White blood cell)
白血球は、体内の異物細胞を破壊する免疫系の一部です。白血球には、好中球、好酸球、好塩基球、リンパ球、単球といったさまざまなタイプがあります。

バッド-キアリ症候群(Budd-Chiari syndrome)
肝臓の大血管である肝静脈内の血栓。血栓としてはまれな部位であり、PNHの徴候の可能性があります。バッド-キアリ症候群の患者さんはすべて、PNHのスクリーニング検査を受ける必要があります。

ハプトグロビン(Haptoglobin)
からだから遊離ヘモグロビンを除去するのを助ける血中の蛋白。PNHでは、多くの場合、破壊された赤血球から放出された全ヘモグロビンを「きれいに片付ける」のに十分なハプトグロビンがないため、暗色の尿やPNHによるそのほかの影響がみられます。

Ham試験(Ham test)
PNH用に開発された初めての検査の一つ。Ham試験は、弱酸を用いることにより、赤血球の脆弱性(補体溶血性)が上昇したかどうかをみます。現在、フローサイトメトリがPNHの最も正確な検査とされているため、この検査はPNHの主要な診断検査としてはもはや行われていません。

汎血球減少症(Pancytopenia)
血液中の赤血球数および白血球数、血小板数が減少した状態です。

PIG-A
重要な蛋白を細胞表面に接着させるGPIアンカーの青写真を形成する遺伝子。PNHはこの遺伝子の欠損によって引き起こされます。

PNHクローン(PNH clone)
からだの中にある細胞群で、PNHを引き起こす遺伝的欠損の影響を受けています。血液細胞がPNHの影響を受ける程度は、多くの場合、クローンサイズで表されます。

ビリルビン(Bilirubin)
赤血球が死んだ時に生成される赤みがかった黄色の老廃物。ビリルビンが過度に多くなると、PNHでは赤血球の破壊(溶血)という結果になる可能性があり、皮膚や白目が黄変します(黄疸)。

貧血(Anemia)
からだの赤血球内に十分なヘモグロビン(酸素を運搬する血液成分)がない疾患。また、赤血球数が減少している場合があります。これは疲れなどの症状を引き起こし、疲労の原因になると思われます。

フローサイトメトリ(Flow cytometry)
細胞を数え、分類するために行われる高感度かつ正確な臨床検査。フローサイトメトリはPNHの標準的な診断検査とされています。

ヘマトクリット(Hematocrit)
血液中に占める赤血球の容積量。

ヘモグロビン(Hemoglobin)
赤血球にあり、酸素を全身に運搬する茶色がかった赤色の物質。

ヘモグロビン尿(Hemoglobinuria)
ヘモグロビンが存在する尿のこと。ヘモグロビン尿は、診断時にPNHの患者さんの約25%にみられる「コーラ色」または暗色の尿を表す専門用語です。PNHのように、防御蛋白が欠けている赤血球が破壊されると、赤血球からヘモグロビンが放出されます。ヘモグロビンは、生体システムで処理しきれないと、老廃物として排泄され、尿はコーラのような特徴的な茶色になります。

ヘルシンキ宣言(Declaration of Helsinki)
世界医師会(WMA)によって作成された、ヒトを対象とした試験の実施に関する医学界における一連の倫理的原則。

補体(Complement)
外来生物(細菌など)や全細胞(自己または異物)を破壊するからだの防御系の一つ。PNHでは、補体は特定の防御蛋白を欠く赤血球を破壊します。

発作(Paroxysm)
病気の症状が増大したり、断続的に突然発症することです。PNHの患者さんは、溶血(赤血球の破壊)が増大すると、尿が暗色になっていることに気付くか、または呼吸困難の増加を認める場合があります。これらの症状は、発作時により重症となります。

発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)(Paroxysmal nocturnal hemoglobinuria)
慢性の赤血球破壊を特徴とし、重大な健康問題を引き起こすことが多い疾患です。症状には、腹痛、嚥下困難、貧血、息切れ、疲れ(疲労)のほか、血栓症、腎不全および臓器障害などの生命を脅かす合併症があります。



- マ行 -

免疫不全(Immunosuppressed)
免疫系が適切に機能せず、からだが感染しやすくなる状態。

モノクローナル抗体(Monoclonal antibody)
蛋白上の特定の部位を認識し、結合する抗体群。モノクローナル抗体は、1種類の免疫細胞から作られ、すべてが1個の親細胞のクローンであるため、同一です。抗体の中には、蛋白の活性を阻止するものもあります。特定の人工モノクローナル抗体は、免疫系による欠損赤血球の破壊を阻止することにより、PNHの患者さんの溶血を軽減します。



- ヤ行 -

遊離ヘモグロビン(Free hemoglobin)
赤血球から放出されたヘモグロビンのこと。血中に遊離ヘモグロビンが存在すると、血栓が形成され、臓器が傷害されるのではないかと考える人もいます。

輸血(Transfusion)
献血された血液または血液成分を血流中に直接注入する過程。PNHで失われた赤血球の一部を補充でき、一部の症状を一時的に和らげます。

溶解(Lysis)
細胞の破壊。PNHの患者さんでは、赤血球は補体(からだの免疫系)によって溶解されます。

溶血(Hemolysis)
赤血球が破壊されること。赤血球の破壊は、PNHと関連した主要な健康問題の主原因です。



- ラ行 -

リンパ球(Lymphocyte)
からだの免疫応答を調節し、感染症と戦うときにきわめて重要な特別な種類の白血球です。T細胞とB細胞という2つのタイプのリンパ球があります。